1年の折り返しで無病息災を願う初夏の京都の3つの風習

1年の折り返しで無病息災を願う初夏の京都の3つの風習

長谷川 則子

21.06.25

長谷川 則子

2021年も早いもので半分が過ぎましたね。コロナのニュースが続く中、健康でありたいと願う人々の気持ちは今も昔も変わることがありません。京都には無病息災を願う風習がたくさんありますが、今回は健康に1年を過ごせる初夏の京都の3つの風習、水無月・茅の輪・粽についてご紹介します。

6月限定!まるで三角形の宝石のような和菓子、水無月

京都では昔から6月30日に水無月を食べる風習があります。水無月とは、白い外郎の上にふっくらとした小豆がのった和菓子です。一説によると、平安時代に宮中の貴族が、この日に氷を食べて暑気を払っていたのが起源で、その氷に似せて作った和菓子が水無月のはじまりと言われています。小豆の赤色は魔除けの思いが込められ、外郎が氷を表し暑気払いの意味があります。京の人々は1年のちょうど折り返しの日に水無月を食べて、この半年の穢れを払い、残りの半年の無病息災を祈ってきました。6月になると、和菓子屋さんのショーウィンドウを自然と覗いて水無月を探しています。見ているだけでも涼しい気分になり、夏の始まりを感じる季節感あふれる和菓子です。

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我が家では毎年、武者小路千家御用達の京華堂利保(きょうかどうとしやす)の水無月を頂きます。上菓子屋のご主人のお話によると、米粉、上用粉、葛、砂糖を秘伝の配合で混ぜて作っているとのこと。小麦粉ではなく、米粉の中でも特に細かい上用粉を使用することで、もっちり好きにはたまらない食感を作りだしているそうです。6月(28日)、29日、30日限定販売ですので、予約をしてからお店に行ってみてくださいね。
今年は私の2歳の息子も晴れて水無月デビューしました!親子三世代でテーブルを囲み、無病息災を願い、水無月を食しました。季節を感じながら和菓子を食べる食文化がまた一つ次世代に受け継がれました。これから息子も水無月が食卓に並ぶのを毎年心待ちにするようになることでしょう。
京華堂利保

神社で行う茅の輪くぐり 車ごとくぐれる茅の輪も!?

同じくこの時期に欠かせない風習が、無病息災や厄除けを祈願して茅(かや)で編んだ大きな輪を8の字を描くようにくぐる「茅の輪をくぐり」です。茅は、昔から厄払いをする神聖なものとしてしめ縄にも用いられます。京都市内では6月になるとこの茅の輪が多くの神社に設けられ、参拝者は、左足でまたぎ左回り、次に右足でまたぎ右回り、最後に左足でまたぎ左回りにくぐります。

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京都市の南にあり、1200年以上の歴史を持つ交通安全の神様として有名な城南宮では、7月上旬に神職さんによる交通安全の祈願のお祓い後、なんと車・バス・トラックに乗ったまま直径5mの茅の輪をくぐることができます。車で京都にお越しの際は、ユニークな茅の輪くぐりを体験してみてはいかがでしょうか。

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茅の輪と粽の意外なつながりとは

最後にご紹介するのは粽(ちまき)です。粽といえば、笹の葉などで包まれたお餅を思い浮かべられる方も多いかと思いますが、京都では京都の三大祭の祇園祭で配られる、無病息災、厄除けのお守りの事を言います。 実は祇園祭の粽と茅の輪の由来は、同じ神話に基づいています。八坂神社の御祭神の素戔嗚尊(すさのおのみこと)が旅の途中に宿を探していたところ、貧しいながらも蘇民将来(そみんしょうらい)が手厚くおもてなしをしました。そのお返しに、蘇民将来の子孫が疫病の厄を逃れるための目印として、腰に茅の輪をつけるように言われました。「茅」を束ねて「巻」いたものが「茅巻き(ちまき)」と呼ばれ、それが同じ発音の粽(ちまき)になり、お守りとして作られるようになりました。

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京都では多くの人々が、「私は蘇民将来の子孫なので、病気や災いから守ってください」という意味が込められた粽を玄関の上に飾ります。30種類以上ある粽の中から、各家庭や企業の贔屓の山鉾があり、毎年同じ山鉾の粽を飾る風習が受け継がれています。自分の家の玄関に飾っている粽を目にしながら子供たちは、うちは〇鉾だ、〇山だと自然と小さい頃から思っています。お祭り期間だけでなく1年中玄関に飾られていますので、街歩きの際に見つけてみてくださいね。

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