ここでしか味わえない絶景を 西山「三鈷寺」
京都西山にある三鈷寺では、東山や北山を背景に京都市街を一望できます。知る人ぞ知るお寺で、静寂の中、眼前にパノラマが広がります。百聞は一見に如かず。絶景を前にあなたは何を感じるでしょうか。
三鈷寺のご住職、大谷祐潤さんにお話を伺いました。
積み重ねられてきた時間
三鈷寺は、光明寺や永観堂、誓願寺などと同じ西山浄土宗のお寺です。
三鈷寺という名前は、お寺の背後にある山の形が三鈷という仏具に似ていることに由来します。1074年の開山以来、2度場所が変わり、昔は修業の道場としても使われていました。京都に都があった当時の雰囲気が残っていて、ここで積み重ねられてきた時間を感じられると大谷さんはおっしゃいます。
「私たちは便利さを得る一方で失っているものもあると言えます。三鈷寺に来られる方には、日常と違う空間に身を置いて五感を研ぎ澄まし、人間が本来持っているポテンシャルに気づいていただきたい。考えるのではなく、ここに来てどう感じるかが大事です。」
現代におけるお寺の存在意義について熱心に話されたのが印象的でした。
本堂を拝観した後、客殿でお茶をいただきながら、ゆっくりと絶景を楽しめます。
客殿で写経やお食事などをすることも可能です。(要問い合わせ・要予約)
趣味から発展した靴供養
大谷さんはトレイルランを楽しまれているのですが、そんな大谷さんならではの取り組みも始められています。きっかけは5年ほど前にさかのぼります。
ある日、走っている途中で靴に枝が刺さったことがあり、そのときに靴は自分の大切な相棒だと再認識されたそうです。
「物を大事にしているか?」という問いが生まれ、そこから靴供養を思いつかれました。
私たちが愛用した靴を三鈷寺で供養していただいた後、その靴が発展途上国へ送られ、現地の人々に使ってもらうというプロジェクトです。
「この趣旨は、仏教の布施の精神であり、物に対するリスペクトと感謝のメッセージを伝えたい」とおっしゃっていました。クラウドファンディングにも挑戦されています。
オリジナルの御朱印も用意されています。桜、菖蒲、青もみじ、桔梗、お月見、紅葉、銀杏など、季節ごとに異なる切り絵やスタンプがあしらわれた御朱印があります。
三鈷寺で、静寂に身をゆだねる時間を過ごしてみませんか。
三鈷寺へは、以前ご紹介した善峯寺と併せてお参りするのがおすすめです。善峯寺の北門からアクセスできます。北門を出て、道なりに歩いて1分ほどで着きます。
ハイキングがお好きな方は、山道を歩いて行くこともできます。善峯寺バス停を約200メートル下ったところに入口を示す看板があり、そこから15分ほど歩くと三鈷寺にたどり着きます。
三鈷寺
京都市西京区大原野石作町1323
TEL:075-331-0022